kin の縮約
kin は、 動詞との結びつきが強いときに縮約されやすい。
- panozac a ces e'n dusokat a's e yét.
- 彼は真実を知らないふりをしている。
上の例で用いられている panoz は e 句に kin 節をとることがほとんどで、 普通の名詞をとることはほぼない。 したがって、 panoz は kin 節との結び付きが強いと言えるため、 kin は縮約されやすい傾向がある。
一方、 動詞の kin との結びつきが弱く 「~すること」 の意味合いが強く残る場合や、 kin 節以下を少し強調したい場合は、 縮約されない。
- bâges e ces a kin bozetes e ces a refet i's.
- 彼の友達に殴られて、 彼は怒った。
- sâfat a tel e kin xakosos a'l e qilox.
- 私は言語を作ることが好きだ。
最初の例文に用いられている bâg は a 句に名詞をとることも多いので、 kin 節との結びつきが強いとも言えず、 kin の縮約は起こりにくい。
次の例文では、 sâf が用いられている。 sâf では、 e 句に置かれる kin は縮約されることが多い上に、 助動詞的に用いて kin がそもそも現れないのが普通である。 しかし、 この例文ではあえて kin を縮約せずに用いているため、 結果として kin 節の内容を強調することになる。
tel, ces などの縮約
tel と loc および c 系代詞は、 話題として節の始めに近い位置にある場合は縮約されやすく、 新情報として節の終わりに近い位置にある場合は縮約されにくい。 なお、 文の中で 1 回目に出てきたものは文語では縮約されない。
- pafikak a tel e'n câses a'l te tazik e qâz i ces.
- 昨日彼の父親に会ったことを思い出した。
- revat a tel e'n bâges e ces a tel.
- 彼を怒らせてしまったのは私だと思う。
最初の例文では、 kin 節内では 「彼の父親」 というのが新情報で大事な部分であり、 「私」 はそれほど重要ではないため、 tel が縮約されている。 一方、 次の例文では、 怒らせてしまった人として 「私」 が新情報となっているため、 tel は縮約されにくい。
命令文での loc の縮約
命令対象が loc であるような命令文では、 その loc はほとんど必ず縮約される。
- ditat nifetis a'c e rix.
- 水を持ってきてください。
命令の対象が 「あなた」 であることを特に強調したい場合は、 loc を縮約しないこともある。